都市とのかかわり方についての備忘録(言葉で都市を変えてゆく)

 およそ2年半前、「都市とのかかわり方と進路についての備忘録」という記事をこのブログに書いた。当時は就活の真っただ中で、就活をするにあたり、自分の価値観として何に重きを置くのか、その指針を探る思いで書いたのだと思う。当時重きを置いていたのは「都市の個別性とのかかわり方」という視点だった。有り体にいえば、抽象的な制度・計画にかかわるか、個別具体的な事業にかかわるか、という話である。

 結局は「個別具体的な事業」寄りの仕事に就いた。そして、就職して1年半が経った。都市にかかわる実務に就いて、当時は持っていなった視点を持つことになった。それと同時に、学生当時も当然に持っていたが当然すぎるがゆえに気づいていなかった視点の存在にも気づくようになった。以下の視点はそのひとつだ。当時書いた「視点1」の次の番号、「視点2」としてみる。

 

視点2 都市に物語を見出すこと、その続きを描くこと(言葉で都市を変えてゆく)

 都市に物語を見出したい。そして、見出した物語の続きを描きたい。――という欲望がある。

 都市には無数の物質的・非物質的、自然的・人為的、制度的・社会経済的・文化的・歴史的要素があり、それらが膨大であるがゆえに無数の「解釈のされかた」を秘めている。文学が好きな人が、文学作品の解釈の仕方でああでもないこうでもないと議論することに愉しみを見出すように、都市を解釈するのも愉しい。都市に物語を見出し、都市を自分の言葉で語るのだ。おそらく文学好きが、斬新かつもっともらしい解釈を見つけたときに興奮するのと同様に、都市においても、斬新さともっともらしさを両立した物語を見出せたときには得がたい悦びがある。

 そして、その一歩先までできればさらに愉しい。解釈したその先の未来、つまり、物語の続きを描くことができれば。描くだけでなく実現できればなおよい。自分で解釈した物語、それを紡いだ言葉で都市を変えてゆければ。

 もちろん文学作品と違い、都市には様々な制約があり、何より、権利者を含め関係者が数多くのひとがかかわる。都市を変えるのは容易ではない。容易ではないが、言葉で都市を変えられると信じたい。