映画『FAKE』を見ました。

ユーロスペースという渋谷の映画館で映画を見てきた話です。

01. 稀にしか映画を見なかった僕が、今日一人で映画を見に行った10の理由

そもそもあんまり映画を見る習慣がなく、たとえば、

英語の教科書とかで出てくる

 ケンタ「あなたの趣味は何ですか?」

 トム「映画を見ることです。」

みたいな例文を見て、「ああ、おれ映画ってそんな頻繁に見ないな」とか思ったり、

雑誌とかで芸能人とかが答えてる

 趣味:カフェめぐり、映画鑑賞

みたいなプロフィール欄を見て、「ああ、おれ映画ってそんな頻繁に見ないな」とか思ったり、(カフェめぐりもしません)

ひとに好きな映画とか聞かれたときに(1年に1回あるかないかくらいの頻度でしか聞かれたことないけど)、ああ、おれ映画ってそんな頻繁に見ないな」とか思ったり、そんなくらいにしか映画を見なかったんですが、

今年は、夏休みに入ってから、高校同期と『シン・ゴジラ』観に行ったり、この間『君の名は。』を観に行ったりして、知らぬ間に人生の中で最も映画を見てる時期になってしまってます。

 

それで、今日『FAKE』を見に行った経緯は、

YouTubeで『君の名は。』の予習のために、新海誠さんが出てた回の「THE HANGOUT」(川田十夢の曜日の)を聴いた。


J-WAVE THE HANGOUT 川田十夢 2016年8月16日 with 新海誠

おすすめ動画にその番組の動画がいくつか出てきた。

森達也出演回を見つけて、視聴。(屠場を扱った同氏の本を読んだことがあったので名前は知っていました。てか、「とさつ」って打って「屠殺」って変換できないのね。「とじょう」はできたけど。)


J-WAVE THE HANGOUT 川田十夢 2016年6月14日 with 森達也

番組内で『FAKE』の話をしてた。

以前『FAKE』見たいな的なツイートした気がするなー、見よっかなーっと思う。

見る。

 

という感じです。よくある新書のタイトルみたいに「10の理由」とかふざけて書いたけど10も理由ないです。「ただ一つの理由」です。なんかたまに出てくる某氏のウェブ広告の過激なタイトルみたい。

 

( !! 以下、ネタばれあります。これから見る予定の人はやめといたほうがいいかもしれないです !! )

 

02. 結局は、n次情報(nは2以上の自然数

思うことはいくつかありますが、いちばん言いたいことは「終わり方が好き」ということです。さっそくネタばれになってしまいますが、この映画の終わり方は、以下の通りです。

 

佐村河内氏、新曲を完成させる。

新曲をバックに流しつつエンドロールが流れる。

森氏、「ぼくは2人(佐村河内夫妻)を撮りたかった」との旨を夫妻に伝える。

新曲をつくる過程で佐村河内氏が快復。

長期間にわたり佐村河内守に取材を続けた森氏が、佐村河内氏に対して「これが最後の撮影になると思う。それで質問があります。何か私に隠していることはありませんか?」という旨の質問をする。

佐村河内氏はしばらく沈黙。

観客は返答を待つ。

突然画面が暗くなり、終演。

 

この終わり方には「おおっ」と思いました。(ここでブチって切ったら面白いだろうなって思ってたので、余計に、「おおっ」ってなってました。うーん、なんか自慢みたいでイヤだな。)

 

くわしく言えば、

映画を通して、任意の人間がm次情報を編集して(m+1)次情報として発信する過程で情報を取捨選択する際に編集者のバイアスがかかる、ということが伝わってくるのですが、

それを伝えているこの映画『FAKE』もまたn次情報(n≧2)であるという入れ子構造が皮肉だなあ、と思うわけですね。そこが好きでした。

 

また、この編集に伴うバイアスについて重要だと思ったのが、劇中で森氏が佐村河内氏に語っているように、(佐村河内氏がバラエティ番組出演を打診されるシーンがあるのですがそれに関連して)バラエティ番組を作っている人間は信念などなく、今ある材料でどれだけ面白くできるかを追求している、ということです。

信念などないと言い切るのは拙速な印象も受けます(おそらく劇中での森氏の発言は「真実を伝えるという信念」というような意味で使っていたような気がするので、その意味では正しいと思います)が、バラエティ番組制作者の目指すところはもちろん面白いバラエティ番組を作ることであって、だからこそ、真実を伝えることより面白くすることが重視されるのは当然です。

であればバラエティ番組制作者は一連の騒動について無意識に「イジり」つづけることになるのも理解はできます。一職業人としては正解とも言えるのではないか、ということです。善悪の評価は別としてね。理解はできます。おそらく彼らの業務内容としては満点なのでしょう。面白い番組を作ったのだから。(まあ、何回も繰り返しイジるのも飽きてくるので、ほどほどにしてほしいですけどね。最近の「東大生」イジりにせよ、ね。)

ただ、そういった番組を見るたびに佐村河内氏自身はすり減っているのだろうなあ、と映画を見ながら思いましたが。

 

03. 学校の先生に褒められそうな模範解答的で凡庸な結論

なんかダラダラと述べてきましたが、結局は、バラエティ番組制作者もそれで飯を食ってるし、たぶんテレビ(およびその他メディア)に期待しても何も変わらないと思うので、編集に伴うバイアスがかかっているということを認識したうえで各種情報に接するしかないのだろうな、という模範解答的で凡庸な結論に至りました。

あとは、個人的なことでは、一次情報に接する機会を増やそうということは感じました。これも凡庸ですけれどもね。具体的な形としては、自分にとっては旅行や街歩きなのではないかと思います。これまでも何となく思っていたことだったので、ああ、今まで考えてたこと、やっぱり正しかったか、と思いました。(ここでも、映画を見たあとで自分に都合のよい部分だけを選択して、自分の考えを肯定する道具として恣意的に利用しているという点で、編集者つまり僕のバイアスがかかっていますね。まあ、そもそも感想なんてそんなものかもしれませんが。)

 

04. おわり

以上、思ったことを多少整理したつもりで(足の踏み場もなかったゴミの山のような部屋が、足の踏み場くらいはできたってくらいには整理したつもりで)書き連ねてみました。駄文・長文失礼しました。ここまで読んでくださった方がいらっしゃたならば、本当にありがたいことです。反響などもあったら直接会った時にでもお話しできたら幸いです。

 

それでは、ありがとうございました。

 

おまけ. 映画を見たあと

ぼく、映画を見たあとはわりと一人で余韻に浸るというか、ぼーっとしたり、何となく思ったことを自分の中で反芻したりしちゃうので、人と映画を見に行った時もあんまり感想を言い合ったりするのが得意ではない人間でして、人と一緒に映画見に行くと申し訳ない感じになっちゃったりします。一緒に見に行った人たちには毎回ごめんなさいって感じです。